〜クラッチマスターシリンダーオーバーホール〜

難易度  ★★☆☆☆
作業時間 3時間
最近クラッチのフィーリングが悪いなーと思って、ふとペダルを見てみると、クラッチペダルが濡れてる・・・。
マスターシリンダーの室内側からフルードが漏れてるみたい。(>_<)
そこで、オーバーホールをしてみました。
今回は画像満載で紹介しまーす。
!!!!!!!!注意!!!!!!!!
当初記載していた内容に誤りがありました。使用するグリスについてですが、一番最後に注意書きを追加しました。必ず見てから作業してくださいね。
!!!!!!!!!!!!!!!!!!
c_m_overhaul_01 これがクラッチマスターシリンダーです。
今回はこれを車体からはずして分解洗浄し、消耗品を交換して組み付けします。
事前にディーラー等でOHキットを用意しておいてくださいね。
最後のエア抜きに必要なので、フロントをジャッキアップしてウマをかけておきます。
c_m_overhaul_02 我が車のマスターシリンダーはナブコ製です。どうもシルビアは3種類位会社があるみたいです。
OHキットもそれぞれ違うようなので、ディーラー等で注文するときはこれを確認してから注文してください。
c_m_overhaul_03 リザーバータンクの蓋をとり、スポイト等で出来る限りフルードをとります。
c_m_overhaul_04 これがマスターシリンダーを車内側から見たところ。
フルードが漏れてますねー。(@_@;)
c_m_overhaul_05 ペダルとは矢印のピンだけでとまっています。
c_m_overhaul_06 βクリップをはずせばピンは抜けます。
c_m_overhaul_07 これでペダルとマスターシリンダーはフリーになりました。
c_m_overhaul_08 はずしたピントβクリップです。再使用するので、きれいに洗浄しておきます。
c_m_overhaul_09 次にエンジンルームのマスターシリンダーをはずします。
矢印のブレーキの負圧ホースが邪魔なので、はずしておきます。
c_m_overhaul_10 はずれました。
c_m_overhaul_11 次に、クラッチのオペレーティングシリンダーに続く配管を10mmのフレアナットレンチで外します。
フルードが漏れてくるので、注意してください。
c_m_overhaul_12 オペレーティングシリンダーがバルクヘッドに固定されている12mmのボルトを外します。
c_m_overhaul_13 もう1箇所の12mmボルトもはずします。
ここは配管等が邪魔でとてもはずしにくいです。いろいろな工具を使ってナメないようにはずしましょう。
c_m_overhaul_14 上から外しにくいなら、車の下に潜って下から外すのも手かもしれません。
c_m_overhaul_15 はずれました。
c_m_overhaul_16 これがマスターシリンダーです。
矢印の部分が車内から見えてた部分です。
これを分解していきます。
c_m_overhaul_17 まずは、バンドを緩めてリザーバータンクを外します。
しかし、かなり汚いですねー。
c_m_overhaul_18 リザーバータンクも汚いです。
c_m_overhaul_19 次にコの字ステーを外します。
ステーを外す前に、ロッドとの位置関係を測っておきましょう。
c_m_overhaul_20 はずれました。
しかし、ブーツがフルードでベタベタですね。
c_m_overhaul_21 ブーツも外します。手ではがせば簡単に外れます。
c_m_overhaul_22 ここも汚いねー。でも、ここは金属同士が擦れ合うところで、グリスが塗ってあるので、そのグリスのせいかもしれませんが。
汚すぎて画像ではわかりにくいですが、スナップリングでロッドがシリンダーにとめられているので、スナップリングを外します。
c_m_overhaul_23 はずれました。
c_m_overhaul_24 組み付けるときのために、ワッシャーの方向を確認しておきます。
ワッシャーは凸の側がネジ側です。
c_m_overhaul_25 シリンダーです。
ロッドの半球部分がピストンの頭と接しています。
ピストンはネジでシリンダーからとれないようになってるので、この時点ではとれません。
c_m_overhaul_26 そのネジをマイナスドライバーではずします。
ネジをとると、バネの力でピストンが飛び出してくるので、気をつけてください。
c_m_overhaul_27 ピストンがでてきました。
c_m_overhaul_28 ピストンにはこのようにバネがついてます。
c_m_overhaul_29 シリンダーの中も結構汚いです。
ブレーキクリーナーできれいにします。
c_m_overhaul_30 きれいになりました。
c_m_overhaul_31 リザーバータンクの取付部もきれいになしました。
c_m_overhaul_32 外観もブレーキクリーナーを噴いて歯ブラシでこすってきれいにしました。
c_m_overhaul_33 その他の部品も洗浄しました。
これが、マスターシリンダーの構成部品です。
c_m_overhaul_34 ここで、オーバーホールキットの出番です。
オーバーホールキットにはこれらの部品が入っています。
c_m_overhaul_35 ピストン比較。
上が今まで使用していたもの、下が新品です。
ゴムのシール部分が変形してしまってますね。
特に左側がひどいです。左側が室内側なので、漏れの原因はこれだったのかな。
c_m_overhaul_36 バネの新旧比較。
これは、ほとんど差はなかったです。
c_m_overhaul_37 では、組みつけに入ります。
ゴムのOリングにグリスを塗って、ネジにはめます。
c_m_overhaul_38 ピストンにバネをつけて、シリンダーに組みます。
矢印の穴にネジが入るようにします。
c_m_overhaul_39 ピストンを指で少し押し込みながらネジをはめます。
これで、ピストンがとびでることはなくなりました。
c_m_overhaul_40 この溝にスナップリングをはめて、ロッドを固定します。
ちなみに、ピストンの頭のくぼみに、ロッドの半球部分があたるので、グリスを塗っておいてください。
c_m_overhaul_41 ロッドにワッシャーをさして(方向は前述したとおり)、シリンダーに組みます。
ロッドを押し込みながらでないとスナップリングがはめられないので、片手でロッドを押し込み、片手でスナップリングをはめないといけないので、かなりてこずります。
c_m_overhaul_42 片手ではなかなかうまくいかず、イライラします。(-_-;)
そこで、せめてロッドを押し込んだまま固定できる方法はないかと、素材を探していると・・・
ありました!奇跡のようにシリンダーの固定用の穴にピッタリのこんなものが。
c_m_overhaul_43 これで両手でスナップリングをつけれます。
c_m_overhaul_44 はまりました!(^o^)
c_m_overhaul_45 ブーツ内部に薄くグリスを塗り、シリンダーに取り付けます。
c_m_overhaul_46 リザーバータンクを取り付けます。
c_m_overhaul_47 コの字ステーを外したときと同じ位置で取り付けます。
これで、マスターシリンダーのOHは終わりです。
c_m_overhaul_48 バルクヘッドに組み付けます。
ナットでバルクヘッドに固定してしまう前に、配管を先に締めこんでしまった方がいいと思います。
c_m_overhaul_49 室内側はペダルにピンとβクリップでとめるだけです。
c_m_overhaul_50 あとは、フルードの補充&エア抜きです。
要領はブレーキと同じです。
2人でやれば理想ですが、今回は深夜の作業。1人しかいないので、ワンマンブリーダーを使います。
c_m_overhaul_51 これが逆流防止弁です。これが逆流を防ぐので、1人で作業できるのです。
でも、エア抜きはやっぱり2人でやった方が効率よくできると思います。
整備仲間をつくりましょう。
c_m_overhaul_52 クラッチのエア抜きはダンパーの部分とオペレーティングシリンダーの2箇所でやりますが、我が車はダンパーをはずしてあるので、オペレーティングシリンダーのみでいいかな。
矢印のブリーダーでやります。
ゴムキャップをはずして・・・
c_m_overhaul_53 最初にメガネで少し緩めてから、タンクにつながるホースをつけ、軽く締めておきます。
c_m_overhaul_54 リザーバータンクにフルードを補充します。
僕はDOT4のブレーキフルードを使ってます。
ブレーキフルードは塗装をはげさせてしまうので、こぼれてもボディにつかないようにペーパーウエスで保護します。
c_m_overhaul_55 エア抜きの手順ですが
2人でやる場合は
@ペダル側の人がペダルを操作します。2〜3度踏んでから、踏み込んだままにし、ブリーダー側に合図します。
Aここで、ブリーダー側は、ブリーダーを少し緩めます。すると、エアを含んだフルードがでてきます。
Bある程度フルードがでたら、ブリーダーを軽く締め、ペダル側に合図します。
Cペダル側はペダルをはなします。
以上の工程をリザーバータンクのフルードがなくならないように注意、補充しながらエアがかんでないフルードがでてくるまで繰り返します。終わったらブリーダーを規定トルクで締め、ホースをとります。
ちなみに、今回はワンマンブリーダーなので、オペレーティングシリンダー側はブリーダーを緩めたままにして、フルードを補充しながらひたすらペダルを踏むだけです。
c_m_overhaul_56 エア抜きが終わったら、ゴムキャップをつけて、ブレーキクリーナーできれいにします。
c_m_overhaul_57 これで作業は完了です☆
c_m_overhaul_58 室内側。漏れてなーい!(^o^)
ちなみに、効果は抜群です。フルードが漏れる程劣化していれば、ピストンはスムーズに動きません。当然ペダルを踏んでも違和感があります。
これが、OHすることによって、スムーズになるのです。
キャリパーもそうだったけど、油圧系のOHは効果てきめんですね。
c_m_overhaul_59 !!!注意!!!
今回の作業で当初は「モリブデングリス」を使ってくださいと記載してましたが、実際に使っていたのは「モリラバーグリス」という商品です。
モリブデングリスは本来金属の擦れる部分などに塗るものでモリブデン自体がかなり荒い金属粒子のため下手するとシールを痛めます。間違ってもゴム類にモリブデンは塗ってはいけないとのご指摘をいただきました。
塗るならシリコングリスかブレーキグリス(カップ、パッド兼用の非金属系グリス)を使うとよいそうです。
使用するグリスによっては危険な作業となってしまうので、十分注意して作業してくださいね。